新型コロナ対策で未完成の引き渡しが可能に!?何を注意すればよい?

新型コロナ対策で未完成の引き渡しが可能に!?何を注意すればよい?

さくら事務所が一戸建てを新築中の施主に対して、「引き渡しチェックリスト」を無償で配布し、注意喚起を促している。その理由は「新型コロナ対策」にあるという。なぜ、新型コロナウイルスが住宅の建設に関係してくるのだろう。その背景と引き渡しに関する注意点を探った。【今週の住活トピック】
住宅設備がないままの完了検査、大丈夫?【無償配布】施主さん向け「お引渡しチェックリスト」/さくら事務所なぜ、新型コロナウイルスが新築一戸建ての完成に影響するのか?

そもそもの発端は、新型コロナウイルスの影響により中国などで工場の稼働状況が悪化していることにある。住宅を建てる際に必ず必要となる、トイレ、システムキッチン、ユニットバス、ドアなどの建材・設備の部品の生産が滞って、日本に供給されていないという状況が生じているのだ。

「新建ハウジング」が全国の工務店などに対して行った緊急アンケート調査(回答72社)によると、81.5%が「新型コロナウイルスの影響を受けている」と回答し、工期の遅れや着工の先延ばしが起きているという。

「一部の住宅設備や建具だけを残して、一戸建てが完成する」という場合、住める状態に仕上がっていないので、当然ながら引き渡しができない。施主にとっては、とても困る事態だ。残念ながら、3月中に引き渡しを受けて4月から新生活を始めようとしていたのに、工期が遅れてしまうという人もいるだろう。

一方、建築を請け負った施工会社は、仕事が終わっている大工などの職人への報酬やすでに使用した資材などの購入費用を支払う必要があるのに、引き渡しができないので残金を受け取れず、支払いができないという事態が起こる。中には、これがもとで倒産の憂き目にあうという施工会社もあるだろう。

国土交通省の対策によって、どんな事態が起こりうる?

こうした事態の対策として、国土交通省が2月27日付で「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う建築設備の部品供給の停止等への対応について」という通知を出した。

その内容は「これらの設備等が未設置の状態で工事を完了させ、完了検査の申請がなされた」場合に、「個別の申請者からの相談に応じて」、「軽微な変更に該当する場合には、完了検査を速やかに実施するとともに、軽微な変更に該当しない場合には、計画変更の手続き及び完了検査を速やかに実施されたい」と建築基準法に基づく完了検査を実施する機関に周知するように求めたもの。

施主にとってどういった影響があるのだろう?この件について、無償配布のチェックリストを監修した、さくら事務所のホームインスペクター田村 啓さんに話を伺った。

軽微な変更とは、例えばトイレだけが未設置な場合など。この場合は未設置なまま完了検査を終えて融資を受け、引き渡し=残金支払いが行われ、引き渡し後にトイレだけ設置して完成するといったことになる。

また、各自治体の判断によるが、換気扇が未設置などの軽微な変更ではない場合は、計画変更の手続きが必要となる。書類の審査や竣工時の完了検査を速やかに行ったとしても、工期がかなり遅れることになる。ただし、この場合でも一部未設置のまま引き渡しとなる事例もありうるという。

「こうした対策は、2014年2月に関東地方を襲った大雪で建材・設備の納期が遅延した際にも実施されました。『施工会社の黒字倒産』を避けることを目的として行われるものですが、工期が遅れることが確実なのに、施主の方が気づかないことが多く、このことについて広く伝えたいと考えました。」(田村さん)

そもそもどの程度の工期遅れが生じているのか、住宅設備が未設置のまま引き渡しを受ける場合でもきちんと施工してもらえるのか、といった施主の不安を解消したいと作成されたのが、さくら事務所が公開したチェックリストだ。

新築一戸建ての引き渡しを受ける際の注意点は?

チェックリストは、施工会社が工期の遅れなどについてしっかり説明し、適切な対応を取っているかを確認するためのもので、次のような内容になっている。

さくら事務所が提供するチェックリストから一部転載

さくら事務所が提供するチェックリストから一部転載

各項目の詳しい説明は、さくら事務所の該当サイトに載っているが、特に重要なポイントは次の2点だ。
・口頭のやり取りで済ませず、「書面」で残すこと
・工期遅れの原因(どの設備機器や建材の納期遅れかなど)を明確にすること

計画変更が生じるなら「計画変更の覚書」などの書面を残すことが大切なのは、言うまでもないだろう。

また、原因が特定商品の遅れであれば、型番を確認して供給メーカーのサイトで情報を確認することなどもしておきたい。新型ウイルスによる影響が原因であれば、不可抗力なので責めることはできないが、そうでない場合の引き渡しの遅れは、「遅延損害金」請求の対象になりうる。そのため、施工会社の人手不足による工期遅れなのに、商品の納期遅れを口実にしてしまう場合もありうるからだ。

さらに、田村さんによると「未設置のまま引き渡しを済ませた場合は、後から住宅設備機器などを設置するときの検査が甘くなる場合もあるので、注意が必要」だという。

特に水まわりのトイレやキッチン、洗面、浴室などで、通水や漏水の確認に漏れがあると、住み始めてから水漏れが生じるなどの被害を受けてしまう。施主として十分目を光らせておく必要がある。

こうした注意点が提示されたチェックリストを、特に活用してほしいのは、「3月末~5月末に新築の一戸建てを引き渡される予定の人」だという。また、さくら事務所では無料の相談窓口も設ける予定ということだ。

新型コロナウイルスの影響は、意外なところにも及んでいる。やむを得ないことではあるが、冷静に状況を判断し、適切な対処をしたいものだ。

引用元: suumo.jp