賃貸住宅の訳あり物件・事故物件については、どこまで知らされる?

賃貸住宅の訳あり物件・事故物件については、どこまで知らされる?

日管協(日本賃貸住宅管理協会)総合研究所では、年に2回、賃貸住宅景況感調査を実施している。今回の調査では、「心理的瑕疵物件における重要事項説明」に関する質問項目を新たに追加した。心理的瑕疵のある物件は、いわゆる訳あり物件や事故物件などといわれているが、その実態について見ていこう。【今週の住活トピック】
第22回賃貸住宅景況感調査「日管協短観」(2019年度上期)を発表/日管協総合研究所心理的に嫌悪するような傷のある物件

まず、「心理的瑕疵物件における重要事項説明」に関する調査の背景について説明しておこう。

「重要事項説明」とは、宅地建物取引業法で定められたもので、賃貸住宅の賃貸借契約を結ぶときには、仲介する不動産会社は借りる人に対して、どんな物件をどういった取引条件で借りるかについて、重要な項目を説明する義務がある。中古住宅を売買の場合も同様だ。

説明すべき項目の中に「心理的瑕疵(かし)」が含まれる。瑕疵とは隠れた欠陥のことなので、心理的瑕疵は「心理的に嫌悪するような傷」のことになる。

一般的に該当する事例としては、自殺や他殺、孤独死など人が亡くなったり、暴力団事務所などの嫌悪・迷惑施設が近隣にあったりといったことが挙げられる。仲介会社がそのことを知っていながら、借りる人に告げなった場合は責任を問われることになる。

ただし、どういった場合に心理的瑕疵に該当するのかについては、明確な基準がない。特に、人が亡くなった場合では、老衰や病気で亡くなってすぐに葬儀が執り行われた場合と、孤独死で長期間それに気づかなかった場合では、心理的な抵抗感や部屋に与える影響の度合いも変わってくる。

借りる人によって心理的に嫌悪する程度が異なったり、仲介する不動産会社の判断基準に違いがあったりなどで、どこまで告知されるかはケースバイケースというのが実態だ。心理的瑕疵に明確な基準を設けるべきだ、という声も強くなっている。

室内の自殺や他殺、病死などがあれば告知される場合が多い

さて、日管協の会員会社に調査した結果を見ていこう。人が亡くなった場合の亡くなり方で、どういった場合に心理的瑕疵として重要事項説明を行うかを聞いた結果が、画像1だ。

心理的瑕疵物件(事故物件等)において重要事項説明を行う範囲(出典/日管協総合研究所「日管協短観」(2019年度上期)より転載)

心理的瑕疵物件(事故物件等)において重要事項説明を行う範囲(出典/日管協総合研究所「日管協短観」(2019年度上期)より転載)

「室内で自殺」(74.6%)や「室内で他殺」(64.9%)の場合は、借りる人に告知する割合が高い。「室内で病死や事故死」の場合も59.7%が告知しているが、病死の場合は、それによって部屋が損傷したり臭いが染みついたりした場合に告知する割合(69.4%)のほうが高くなっている。また、室内ではなく共用部などであれば、自殺や他殺の場合でも、告知される割合は半数近くまで下がってくる。

つまり、借りようとする住戸内で自殺や他殺、病死などが起きた場合に、重要事項説明で告知されるケースが多いが、そうした場合でも必ずしも告知されるわけではないというのが実態だ。

入居者の入れ替えがあれば、告知されないケースも

次に問題になるのは、どこまで告知し続けるか、ということだ。こちらも明確な基準はない。
死亡事例があった後に誰かが入居して特段問題がなければ、次の入居者に対しては告知をしない、というのが最も短い期間になるだろう。

この告知期間について聞いた結果が、画像2になる。最も短いと考えられる「入居者1回入れ替え」が最多の35.1%で、「入居者2回入れ替え」(14.9%)や「一定年数」たったら(11.2%)という場合もある。一方で、「半永久的」という回答も14.9%あり、自殺や他殺、孤独死などが大きく報道された場合など「認知度合、インターネットへの閲覧等の要素」で判断するという回答も9.7%あった。

心理的瑕疵物件(事故物件等)において重要事項説明を行う告知期間(出典/日管協総合研究所「日管協短観」(2019年度上期)より転載)

心理的瑕疵物件(事故物件等)において重要事項説明を行う告知期間(出典/日管協総合研究所「日管協短観」(2019年度上期)より転載)

この結果を見ると、入居者が1回または2回入れ替わったり、一定年数がたったりすれば、心理的瑕疵が重要事項説明で告知されないケースも多い実態が分かる。

事故物件、訳あり物件なら入居しない?

心理的に嫌悪する傷のある賃貸には住みたくないと思うのは、今に始まったことではなく、江戸時代にもあったようだ。筆者の連載「連載江戸の知恵に学ぶ街と暮らし」の「お化け長屋」に見る 江戸時代の引越し事情にも書いたが、落語にも「泥棒に殺されたお上さんの幽霊が出る」と嘘をついて、入居希望者を退散させるという「お化け長屋」という噺がある。店賃はいらないと聞いて、それでもかまわないといって押しかけてくる輩が現れ、事態は二転三転という落語だ。

今の時代にも、事故物件なら賃料が安くなるので、あえて探すという人もいる。試しに、不動産情報サイト「SUUMO」で、キーワード検索に「事故物件」と入力してみると、いくつか物件が見つかった。詳細は問い合わせないと分からないが、「事故物件のため、2年間賃料ダウン・敷金礼金ゼロゼロ」という記載がある賃貸もあった。

心理的瑕疵の程度は借りる人によっても異なる。筆者のように霊感があまりなく、賃料が安くて室内がリフォームされているなら気にしないという人もいれば、霊感が強くて、絶対住みたくないという人もいるだろう。住みたくないという人は、仲介する不動産会社に過去に死亡事例などがないか、心理的瑕疵といわれるものがないかを確認して、それを契約書に記載してもらうといった方法で、確実に告知してもらうようにするとよいだろう。

引用元: suumo.jp