町内会の会長を押し付けられた! 休日は潰れてクレームも多発。どうすればいいの?

町内会の会長を押し付けられた! 休日は潰れてクレームも多発。どうすればいいの?

一戸建てでもマンションでも、避けて通れないのが自治会や町内会の「役員」です。夫婦共働き世帯や高齢者世帯も増えて、担い手そのものが不足する一方で、町内会・自治会の仕事が増え、バランスがとれなくなっているといいます。では、どうすれば解消するのでしょうか、専門家と考えてみました。
ある日、突然「町内会長」に。メリットは……ほとんどない?

町内会、自治会、町会。さまざまな呼び方がありますが、防犯や防災、清掃など、地域を暮らしやすくするための自治組織が自治会・町内会。分譲マンションや賃貸アパート・マンションでも、地域のこうした組織に入っていることが多いもの。しかし、近年、町内会にまつわるニュースはネガティブなものが多く、現場でも「あつれき」「負担感」が問題になっているといいます。では何が負担なのか、今年4月より約300世帯の町内会の会長をしている神奈川県藤沢市の30代男性Aさんに話を聞いてみました。

「町内会に加入したのは3年ほど前。一戸建てを購入して引越してきたときです。それが今年に入り、『来年度の町会の会長をお願いします、順番でまわっているので断れませんよ』と言われ、引き受けることになりました」と経緯を話します。任期は1年ですが、引き継ぎ時にはダンボール4箱分の文書や資料、備品などがまわってきて、まずその多さにびっくり。また、役員同士でも基本的には情報などは印刷して紙で共有する、多いときはほぼ毎週会合がある、なにかあるとすぐに電話・突撃訪問があるなどの「文化の違い」に面食らったといいます。

「お祭りなど伝統を大事にしたい気持ち、地域を大切にしたい気持ちは分かるのですが、平日午前にも打ち合わせが入るなど、会社員で務まる内容ではありません。また、週末もできたら家族や友人と過ごしたい。町内会が何のために活動しているのか、正直、メリットが分かりません」

画像/PIXTA

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また、ご近所に住む人はほとんどが良い人と言いつつも、「何もしないけれど声は大きい(しかも折れない)高齢者」がいて、クレーム処理係のようになってしまうのも負担が大きいようです。

「兄はマンションに住んでいて、同じように町内会の会長をしたのですが、議事録作成などは外部企業にアウトソースして、なにかあったときにハンコを押すだけだったと言っていました。あまりの差にびっくりしています」とAさん。

町内会は任意。「行事をゼロベースで見直す」のもアリ?

Aさんのコメントをもとに、現在の町内会の不満点をまとめると、(1)町内会の加入・役職を断ることができない、(2)行事・会合が多数あり、目的が不明瞭、(3)高齢者が多く、進め方・情報共有の方法が時代に追いついていない、(4)進め方を改善しようとしても拒まれる、(5)平日にも会合があり、仕事と両立できないといったところでしょうか。

地域活性化コンサルタントで、まちづくりや町内会・自治体の問題についても詳しい水津陽子さんによると、日本全国、ほぼどこの町内会も同じような問題を抱えているといいます。

「町内会の役員の多くは70代で、これまでのやり方をなかなか変えられずにいます。一方で、町内会に求められる役割は防災・防犯・清掃・地域活性化・子どもの見守りと増えるばかりなのに、新しい人・若い人が加わらないので、いつものメンバーに負担が偏りがち。変わりたいけれど、変われないジレンマ、過渡期なんです」と水津さん。

画像/PIXTA

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では、こうした「負担感」「やらされ感」を軽減し、うまくやるにはどうしたらよいのでしょうか。

「そもそもですが、本来、自治会・町内会への加入はあくまで『任意』、強制できません。Aさんのように加入した後に聞いていない役が回ってきて、順番だからと強制され困惑する人は少なくありません。昔は慣習やルールで仕方なく受けてきたと思いますが、今ではそれが未加入の理由の一位。やりたくない人に『これはやってきたことだから』『昔からのやり方で』と押し付けるやり方では担い手は減るばかり。また、自治会・町内会の活動は法律で定められた役割でもありません。極論を言えば、一旦すべてやめても誰にも罰せられません。会員の総意で今、必要な活動や運営法をゼロベースで見直してもいいのです」と大胆な提案をします。

住みやすい町に町内会は不可欠。時代にあったかたちにアップデート

一方で、インターネットなどで交わされるような、「町内会・自治会などなくしてしまえ」論には反対だといいます。

「今の町内会が時代にあっていないだけで、住民自治の仕組みが必要であることは間違いないと思います。昨今、自然災害が日本各地で多発していますし、サポートが必要な高齢者も増えている。ただ、行政には人手も予算も不足しています。自分たちの町は自分たちで住みよくしていく、関わりは不可欠といっていいでしょう。カギは、時代にあったやり方に変えていけるかどうかなんです」と水津さん。

「町内会では、未だに規約がないところもありますし、個人情報の取り扱いが前時代なところも。これを改善し、ITをサポートしてくれる会員やボランティアを募集し、回覧板や広報紙の配布は最小限にするなど、できることはたくさんあります」(水津さん)

先ほどAさんが不満にあげていた、5つの悩みでいうと、(1)町内会の加入・役職は強制ではなく、(2)若い人の意見も尊重、希望や都合に合わせて参加できるルールや仕組みに変え、(3)行事・会合はゼロベースで見直して、必要なものを残す、(4)規約や個人情報の取り扱いも時代にあわせ、(5)情報化を進めることで会合や連絡等、意見交換や合意形成など、情報交換や参加ができるようにするなどが必要なようです。

今まで、慣例で進めてきた町内会も、「リストラ(再構築)」とアップデートが必要な時期に来ているんですね。また、最近では町内会の加入率が低下したことで、危機感を抱き、変革に挑んでいる町内会も少なくないそう。

「千葉県浦安市では防災活動に力を入れ、東日本大震災では発災当日に住民の安否確認を行い、簡易トイレや飲料水を配布、その後の避難生活では会独自の積立金から仮説トイレや給水車等を配備するなど、日ごろの活動の真価を発揮した自治会もあります。新宿区では会員アンケートを行い、あったらいいと思う事業の希望を聞いたり、協力者を募るなどして活性化した事例もあります。最近では兵庫県西宮市で19歳の短大生が自治会副会長になったところ、清掃への参加が2割増えたという例もあります」(水津さん)

なかなか一筋縄ではいかない町内会の問題ですが、それもそのはず、30世帯程度小規模な町内会もあれば3000世帯と大規模な町内会もあり、歴史も背景も、今までの取り組みも異なるため、ずばりと効く処方箋はないのかもしれません。ただ、都市であっても地方であっても、人が暮らしていく以上、コミュニティは不可欠です。「やりたい人が」「やりたい内容で」「できるときに参加する」を基本に、ゆるく住んでいる町に関わっていく方法を考える、今はその模索の段階なのかもしれません。

●取材協力
水津陽子さん HP
合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント、地域活性化・まちづくりコンサルタント。石油会社、官公署、税務会計事務所勤務等を経て1998年に行政書士、経営コンサルタントとして独立。地域資源を活かした地域ブランドづくり、観光振興など、地域活性化・まちづくりの講演セミナーなどを行う。近著に『トラブル解消、上手に運営! 自治会・町内会お悩み解決実践ブック』(実業之日本社)がある

引用元: suumo.jp