料理家のキッチンと朝ごはん[4]前編 アスリート料理家・YOSHIROさんの筋肉をつくるスクランブルエッグ

料理家のキッチンと朝ごはん[4]前編 アスリート料理家・YOSHIROさんの筋肉をつくるスクランブルエッグ

料理家ながら、トライアスロンの国内大会で優勝するほどの実力をもつYOSHIROさん。「食 ✕ 健康 ✕ スポーツ」を普及する活動を精力的に行うだけでなく、現役アスリートとしての実績も評価されています。そんなYOSHIROさんに朝ごはんについて伺いました。【連載】料理家のキッチンと朝ごはん
料理研究家やフードコーディネーターといった料理のプロは、どんなキッチンで、どんな朝ごはんをつくって食べているのでしょうか? かれらが朝ごはんをつくる様子を拝見しながら、おいしいレシピを生み出すプロならではのキッチン収納の秘密を、片づけのプロ、ライフオーガナイザーが探ります。開放的で明るいアイランドキッチンが住まい選びの決め手に

昨年8月に引越してきたばかりだというYOSHIROさん。今年5月1日に「令和婚」され、現在は夫婦おふたりで1LDKのマンションにお住まいです。

玄関から廊下を抜けた先に広がるリビングの主役は、開放的なアイランドキッチン。YOSHIROさんは、「コンパクトな部屋ですが、キッチンが大きくて明るいところが気に入っています」

リビングの片隅には本格的なトライアスロンバイクのほか、YouTubeの動画チャンネル「Cooking Athlon(クッキングアスロン)」用の撮影機材も。壁に飾ったIKEAのアートプラント「FEJKA(フェイカ)」が爽やかな印象(写真撮影/相馬ミナ)

リビングの片隅には本格的なトライアスロンバイクのほか、YouTubeの動画チャンネル「Cooking Athlon(クッキングアスロン)」用の撮影機材も。壁に飾ったIKEAのアートプラント「FEJKA(フェイカ)」が爽やかな印象(写真撮影/相馬ミナ)

YOSHIROさんの家の間取り

YOSHIROさんの家の間取り

今回、お教えいただくのは「ソーセージとチーズのスクランブルエッグ」。アスリートにとって重要な栄養素であるタンパク質を、朝からしっかり摂取できるレシピです。

トライアスリートの肉体をつくる! チーズ入りスクランブルエッグ

用意するもの(1人分)
・ソーセージ2本
・卵2個
・プチトマト(お好みで)
・しめじ(お好みで)
・ベビーチーズ1個(1センチ角にカット)
・オリーブオイル 大さじ1
・塩、こしょう 少々

今回はチョリソーとベビーチーズを使っていますが、それぞれお好みのものを選んでOK。より高タンパクな魚肉ソーセージや、切らずに使えるピザ用シュレッドチーズを使っても(写真撮影/相馬ミナ)

今回はチョリソーとベビーチーズを使っていますが、それぞれお好みのものを選んでOK。より高タンパクな魚肉ソーセージや、切らずに使えるピザ用シュレッドチーズを使っても(写真撮影/相馬ミナ)

材料をひととおり準備したら、アイランドキッチン背面のスチールラックにS字フックで引っ掛けたフライパンを手にとるYOSHIROさん。体の向きをキッチン側にさっと戻してフライパンをコンロに置き、熱し始めます。

天井近くまであるスチールラックを2台ならべ、キッチンツールや食器を配置。ものを持つたびに盛り上がる、YOSHIROさんの前腕の腕橈骨筋に歓声をあげる取材班(全員女子)。騒がしくてすみません(写真撮影/相馬ミナ)

天井近くまであるスチールラックを2台ならべ、キッチンツールや食器を配置。ものを持つたびに盛り上がる、YOSHIROさんの前腕の腕橈骨筋に歓声をあげる取材班(全員女子)。騒がしくてすみません(写真撮影/相馬ミナ)

今度は左手でコンロ下の引き出しを開けてボウルを取り出し、右手でコンロ脇に置いたツールスタンドから菜箸を取り出しました。

深さのある引き出しの右側にボウルを、左側に片手鍋をスタッキングして収納しています。手前の隙間には、鍋の蓋とまな板を立てて収めているため、それぞれ出し入れしやすそうです(写真撮影/相馬ミナ)

深さのある引き出しの右側にボウルを、左側に片手鍋をスタッキングして収納しています。手前の隙間には、鍋の蓋とまな板を立てて収めているため、それぞれ出し入れしやすそうです(写真撮影/相馬ミナ)

よく使う菜箸やターナー、木ベラなどのキッチンツール類は、コンロ脇に出しっ放しにして取り出しやすく。ツールスタンドとしてガラス製のメジャーカップを使っているため、汚れが気になったらさっと洗えます(写真撮影/相馬ミナ)

よく使う菜箸やターナー、木ベラなどのキッチンツール類は、コンロ脇に出しっ放しにして取り出しやすく。ツールスタンドとしてガラス製のメジャーカップを使っているため、汚れが気になったらさっと洗えます(写真撮影/相馬ミナ)

ボウルに卵を割り入れ、菜箸を使ってさっくり混ぜます。

とろっとした食感に仕上げたい場合は、卵白のコシが残るくらいに軽く混ぜるのがポイントだそうです(写真撮影/相馬ミナ)

とろっとした食感に仕上げたい場合は、卵白のコシが残るくらいに軽く混ぜるのがポイントだそうです(写真撮影/相馬ミナ)

熱しておいたフライパンにオリーブオイルを入れ、ソーセージをこんがり炒めます。焼き色がついたら弱火にして、再びぱっとスチールラックのほうを振り返り……。

使用頻度の高いお皿はスチールラックの中段に配置されていました。同一メーカーのものでなくても、形や色を合わせてスタッキングすれば、オープン収納でもすっきり見えます(写真撮影/相馬ミナ)

使用頻度の高いお皿はスチールラックの中段に配置されていました。同一メーカーのものでなくても、形や色を合わせてスタッキングすれば、オープン収納でもすっきり見えます(写真撮影/相馬ミナ)

ラックから平皿を取ってキッチンカウンターに置いたら、ソーセージをフライパンから取り出して、お皿に移します。

ソーセージの美味しさを引き出すコツは、少し焦げ目がつくまでじっくり焼くこと。弱火で4~5分、菜箸で転がしながら焼き付けます。「ソーセージから肉汁が滲み出てきたら焼き上がりです」(写真撮影/相馬ミナ)

ソーセージの美味しさを引き出すコツは、少し焦げ目がつくまでじっくり焼くこと。弱火で4~5分、菜箸で転がしながら焼き付けます。「ソーセージから肉汁が滲み出てきたら焼き上がりです」(写真撮影/相馬ミナ)

ソーセージを炒めたフライパンにプチトマトとしめじを入れて軽く炒め、塩こしょうします。

ソーセージと具材は火の通る時間や付けたい焦げ目の度合いが違うので、別々に炒めるのが大事。ソーセージを焼いた油をそのまま使えば、具材にソーセージから溶け出した旨味や香りが移って美味しさアップ(写真撮影/相馬ミナ)

ソーセージと具材は火の通る時間や付けたい焦げ目の度合いが違うので、別々に炒めるのが大事。ソーセージを焼いた油をそのまま使えば、具材にソーセージから溶け出した旨味や香りが移って美味しさアップ(写真撮影/相馬ミナ)

全体に油がまわってミニトマトとしめじがくたっとしたら、卵を溶いたボウルにチーズを加えて軽く混ぜ……。

ひとつの動作と同時に次の工程の準備を進めるため、流れるようにスムーズに動くYOSHIROさん。細かい質問に笑顔で丁寧に答えながらも、まったく手が止まらないのがすごい(写真撮影/相馬ミナ)

ひとつの動作と同時に次の工程の準備を進めるため、流れるようにスムーズに動くYOSHIROさん。細かい質問に笑顔で丁寧に答えながらも、まったく手が止まらないのがすごい(写真撮影/相馬ミナ)

フライパンにじゅわわっと卵液を流し込み、菜箸でぐるぐるっと大きくかき混ぜます。

卵を入れたら火を強めます。ここからは時間との勝負。必ず側にお皿を用意しておいてください(写真撮影/相馬ミナ)

卵を入れたら火を強めます。ここからは時間との勝負。必ず側にお皿を用意しておいてください(写真撮影/相馬ミナ)

「あっという間に卵に火が通るので、強火で10秒くらいを目安に仕上げてくださいね」(写真撮影/相馬ミナ)

「あっという間に卵に火が通るので、強火で10秒くらいを目安に仕上げてくださいね」(写真撮影/相馬ミナ)

スクランブルエッグをお皿に盛り付けたら、仕上げに塩、こしょうをお好みでパラリ。

ソーセージとチーズの塩分が入っているため、仕上げの塩は控えめに。「黒こしょうはぜひ挽きたてを使ってください。香りがまったく違いますよ」(写真撮影/相馬ミナ)

ソーセージとチーズの塩分が入っているため、仕上げの塩は控えめに。「黒こしょうはぜひ挽きたてを使ってください。香りがまったく違いますよ」(写真撮影/相馬ミナ)

最後にお皿のフチに粒マスタードを添えたら、完成です!

レース前など、YOSHIROさんご自身は炭水化物の摂取を制限されるそうですが、「一般のご家庭で朝食に出すなら、クロワッサンなどのパンを添えるといいですね」(写真撮影/相馬ミナ)

レース前など、YOSHIROさんご自身は炭水化物の摂取を制限されるそうですが、「一般のご家庭で朝食に出すなら、クロワッサンなどのパンを添えるといいですね」(写真撮影/相馬ミナ)

この日はとても天気がよかったので、テラスで朝食を取ることに。テラスに出るドアの脇に置いたスチールワゴンからクロスとカトラリーを取り出して、テーブルに運びます!

スチールワゴンにダイソーの「アルティメットコンテナ」を乗せてキッチン雑貨を収納。最上段から順に、クロス類、スパイス類、カトラリー類、食品のストック類。整然と分類されていました(写真撮影/相馬ミナ)

スチールワゴンにダイソーの「アルティメットコンテナ」を乗せてキッチン雑貨を収納。最上段から順に、クロス類、スパイス類、カトラリー類、食品のストック類。整然と分類されていました(写真撮影/相馬ミナ)

カトラリーを収めたコンテナの中はボックスで細かく仕切り、お箸や木製カトラリー、ナイフ&フォークのセットなどをアイテムごとに収納(写真撮影/相馬ミナ)

カトラリーを収めたコンテナの中はボックスで細かく仕切り、お箸や木製カトラリー、ナイフ&フォークのセットなどをアイテムごとに収納(写真撮影/相馬ミナ)

あんなにイヤだと思っていた料理の世界に飛び込んだ理由は……

つくり慣れた朝食だったこともあるとは思いますが、キッチンでのYOSHIROさんの動きはとにかく機敏で、つくり始めてから完成までがあっという間でした。料理家であるだけなく、3つの店舗を経営し、自ら料理人として厨房に立つこともあるというから、手際がいいのは当然のことかもしれませんね。

われわれにレシピの説明をしてくれるときは優しい料理の先生ですが、味見をするときの鋭い目つきはプロの料理人、重いフライパンを持つときに盛り上がる上腕二頭筋はさすがアスリート!の貫禄がありました(写真撮影/相馬ミナ)

われわれにレシピの説明をしてくれるときは優しい料理の先生ですが、味見をするときの鋭い目つきはプロの料理人、重いフライパンを持つときに盛り上がる上腕二頭筋はさすがアスリート!の貫禄がありました(写真撮影/相馬ミナ)

ところで、お父様が和食料理人だというYOSHIROさんですが、大学卒業後は営業職で一般企業に勤められていたとのこと。そのまま家業を継ぐという選択をしなかった理由は何なのでしょうか?

「毎日帰りが夜遅い、店が休めず学校の授業参観には来られない。そんな父の姿を幼いころから見てきて、子ども心に料理人なんかイヤだと思っていたんですよ(笑)。大学を出てサラリーマンになるんだと意気込んで希望の会社に入ったのですが、入社式当日に東日本大震災が起こって式は延期になりました。いろんな意味で、今でも忘れられない1日です。

後日、有給を使って被災地を訪れ、ボランティアとして多くの人と接するうちに、改めて自分にできることは何なのかと自問自答するようになって……。悩んだ末、自分にできるのは見よう見まねで父から学んだ料理だと行き着いたんです。あんなにイヤだと思っていたのに、結局父と同じ、料理の世界に飛び込むことになりました」。爽やかな笑顔で、そう語ってくれたYOSHIROさん。

その後、活躍の場は料理の世界だけにとどまらず、2015年には農林水産省・JICAの共同事業に参画し、日本食文化を世界に発信する活動にも携わった経験も。現在はパラ卓球ナショナルチームの公認フードアドバイザーにも就任し、2020年の東京パラリンピックで選手と共にメダル獲得を目指しています。「食」を軸に活躍の場を広げるYOSHIROさんの今後に、これからも目が離せませんね。

次回は、かっこいいインテリアとしても楽しめるだけでなく機能性も高い「愛用の調理器具ベスト5」をご紹介いただく予定です!

■料理家 YOSHIROさんのキッチン

●取材協力
YOSHIROさん HP
神奈川県生まれ。和食料理人である父の影響で、幼少期から実家の店舗で料理の基礎を学ぶ。専修大学卒業後、日本食研(株)に入社。退職後は日本料理店での店長勤務を経て、料理家として独立。世田谷区経堂の「凧」など3店舗を経営するほか、トライアスロン世界選手権の日本代表として「食 ✕ 健康 ✕ スポーツ」を普及する活動も行う。著書に『燃やすおかず つくりおき』(学研プラス)、『BRUNOの絶賛ホットプレートごはん』(宝島社)など。

引用元: suumo.jp