好立地にあるビルを住居に 「ビル1棟リノベ」の魅力とは

好立地にあるビルをリノベーションして住居に。「ビルリノベ」の魅力とは

ビルリノベーション(ビルリノベ)とは、その名のとおりビルをリノベーションすること。一戸建てやマンションをリノベーションするように、ビル1棟をリノベーションして住居として住む人がじわじわ増えているのだそうです。ビルリノベーションを手がける株式会社クラフトの田代さんに、ビルリノベの魅力についてお話をうかがいました。
「一戸建てではできないこと」がかなう

一戸建てでもなく、マンションでもなく、ビルをリノベーションして住む。その住まい方にはどんな魅力があるのでしょうか。

「一般的なビルの場合、駅近だったり、幹線道路に面していたりするため、通勤・通学に便利な好立地に建っていることが多いんです。また、鉄骨造、鉄筋コンクリート造で耐久性が高く、壁や柱のない構造なので、大空間をつくりやすいのもビルのいいところですね」(田代さん)

【画像1】東京都中央区の賃貸用ビルの1階を駐車場に、2階~4階を居住スペースにリノベ。日本橋や銀座といったエリアへのアクセスが良い立地にあるのが魅力(画像提供/株式会社クラフト)

【画像1】東京都中央区の賃貸用ビルの1階を駐車場に、2階~4階を居住スペースにリノベ。日本橋や銀座といったエリアへのアクセスが良い立地にあるのが魅力(画像提供/株式会社クラフト)

一戸建てやマンションでは実現できないことが、ビルに住むことで叶えられることもあるようです。しかし、住居用としてつくられていないビルの場合、いくつかデメリットもあると言います。

「ほとんどのビルの場合、キッチンやバスルームなどが備わっていないので、リノベーションのコストがかかってしまいます。バルコニーもないことが多いため、洗濯物を外に干すことも難しいんです。繁華街やオフィス街にあるビルの場合、隣のビルと密接していることも少なくないので、日当たりが悪かったり、周辺が騒がしかったりといったデメリットもあるんですよね」(田代さん)

ビルリノベでは、これらのデメリットをどのように解決していくかがカギになるそうです。

採光や水まわり……ビルのデメリットもリノベで解決

住居用ではないビルならではのデメリットを、リノベーションでどのように解決するのでしょうか。

「隣のビルが密接していて採光がむずかしいビルの場合、日当たりがよく、視線が抜けるような場所を探して、窓の光を上手く取り入れる工夫を施します」(田代さん)

【画像2】このお宅の場合、光量が限られていたリビング側の腰窓を全面窓に交換し、食卓を明るくするためにトップライトの下にダイニングを設けた(画像提供/株式会社クラフト)

【画像2】このお宅の場合、光量が限られていたリビング側の腰窓を全面窓に交換し、食卓を明るくするためにトップライトの下にダイニングを設けた(画像提供/株式会社クラフト)

また、バルコニーがないビルの場合は、洗濯物が干せるように日当たりのよい場所にインナーテラスを設置するといった工夫を施すことも。

【画像3】リビングのそばに日が差し込むインナーテラスを設置した事例(画像提供/株式会社クラフト)

【画像3】リビングのそばに日が差し込むインナーテラスを設置した事例(画像提供/株式会社クラフト)

インナーテラスを設置すれば、雨でも洗濯物を干すことができるようになるだけでなく、通行人から洗濯物を見られることもなくなるため、かえって一戸建てやマンションよりもメリットがあるそうです。

また、キッチンやバスルームなど水まわりの設備がないビルには、そういった設備を設けるだけでなく、床や天井ができるだけフラットになるように配管やダクトの経路を配慮します。

築年数が経過している古いビルの場合は、ビル全体の性能を見直すことも欠かせません。ビルの耐久性を高めるために、外壁や屋上の劣化部分を修繕したり、結露を防ぐために窓を二重サッシにしたり、断熱性を高めるために壁に発泡ウレタンを吹き付けたりといったこともおこなうそうです。

気になる費用は?

リノベーションをすることで、ビルでも理想的な間取りや住環境を手に入れることができると分かったところで、やはり気になるのが実際にビルリノベにかかる費用です。

「ビルリノベの費用の考え方は、基本的に一戸建てやマンションと同じです。しかし、鉄骨造やRC造のビルの場合、構造をそのまま活かしやすいので、古い木造一戸建てをリノベーションするよりもかえってコストダウンになることもあるんです」(田代さん)

【画像4】壁に囲まれていた階段ホールをガラス張りに。LDKとの一体感を生み出すことができた(画像提供/株式会社クラフト)

【画像4】壁に囲まれていた階段ホールをガラス張りに。LDKとの一体感を生み出すことができた(画像提供/株式会社クラフト)

ちなみに、同社の場合「20万円/平米」がリノベーション費用の目安だそう。5階建ての鉄骨造ビル(リノベーション面積127平米)の場合、リノベーション費用は約2500万円とみておくとよいでしょう。

「ビルは新築時に45~50万円/平米ほどのコストがかかると言われていますので、既存のビルをリノベーションしたほうが割安です。もちろん、通常の住居のリノベーションと同様で、大幅な間取り変更や大規模な修繕などが必要となれば、その分コストがかかります。予算に合わせて、何をどこまで手を加えるのかを考えるのは、中古の一戸建てやマンションのリノベーションと同じです」(田代さん)

ところで、ビルをリノベーションして暮らしたいと考えているのは、どんな方が多いのでしょうか。
 
「当社にビルリノベのお問い合わせをいただくのは、お子さまがいらっしゃる40代の方が多いですね。親族が所有しているビルを改装して居住する目的でリノベしたいというご要望が大半です。ご親族所有のビルで利便性のある立地にあれば、マンション等を購入するよりも経済的に安く、思いどおりの間取りや空間を手に入れられますからね」(田代さん)

自身や親族が所有しているビルをリノベーションして居住するだけでなく、なかには古いビルを購入して住居に改装してしまうケースも少なくないのだとか。

「都内の好立地にあるビルを購入して、リノベーションされる方もいらっしゃいますね。1棟まるまる住居にする方だけでなく、例えば4階建てのビルを購入して1・2階をテナント用賃貸スペースに、3・4階を住まいにリノベーションする方もいらっしゃいます。好立地にあるビルであれば、テナントが入りやすいので家賃収入も見込めるんです。なかにはすでにテナントが入っているビルを購入して、自分好みにリノベーションされる方もいます」(田代さん)

【画像5】社員寮として使われていた渋谷区の古いビル(右)を購入。1・2階をテナント用賃貸スペースに、3・4階を住まいにリノベーション。その後、隣の土地があいたため、新たにビルを新築し(左)、テナント貸ししている(画像提供/株式会社クラフト)

【画像5】社員寮として使われていた渋谷区の古いビル(右)を購入。1・2階をテナント用賃貸スペースに、3・4階を住まいにリノベーション。その後、隣の土地があいたため、新たにビルを新築し(左)、テナント貸ししている(画像提供/株式会社クラフト)

また、東京都中央区の賃貸用ビルを一棟丸ごと購入してリノベーションした方は、日本橋や銀座といった立地へのアクセスがよくなったのだとか。通勤もラクになり、休日は家族で散歩がてら銀座にショッピングしたり、歩いてランチやディナーを楽しんだりする暮らしを満喫しているそうです。

ちなみに、最近は「ビルリノベすることで屋上やルーフバルコニーをうまく活用したいと考えている人が多い」と言います。

【画像6】ルーフバルコニーとリビングをひと続きにした事例。広いリビング空間を演出できた(画像提供/株式会社クラフト)

【画像6】ルーフバルコニーとリビングをひと続きにした事例。広いリビング空間を演出できた(画像提供/株式会社クラフト)

「最上階のルーフバルコニーをリビングとひと続きにして、開放感を引き出すリノベが人気ですね。屋上でホームパーティーやバーベキューをしたり、花火鑑賞などを楽しんだりと、都心にいながらちょっと贅沢な日常を送ることができるんです」(田代さん)

ビルリノベして暮らすことで、ライフスタイルも自然と変化するようです。逆にライフスタイルをより充実させるために、ビルリノベを選択する人も今後増えるかもしれません。

「立地重視で都心の一戸建てを検討している人は、ぜひビルも選択肢に入れてほしい」と田代さんは言います。住居選びの選択肢が広がるだけでなく、木造の一戸建てよりも自由にリノベーションプランを考えることができるのもビルリノベの魅力。「ビルリノベ」ならあなたの理想の住まい方を実現できるかもしれません。

●取材協力
・株式会社クラフト

引用元: suumo.jp