話題ドラマ『隣の家族は青く見える』の舞台、コーポラティブハウスのセットをレポート

話題ドラマ『隣の家族は青く見える』の舞台、コーポラティブハウスのセットをレポート

2018年1月から放送中のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ)。深田恭子さんと松山ケンイチさんが演じる妊活に励む夫婦を中心に、集合住宅で暮らす4世帯の家族の成長と葛藤を描いた物語です。舞台となっている集合住宅は、購入希望者が意見を出し合いながら自由設計する「コーポラティブハウス」。戸建ての注文住宅に近い自由度で決められるとあって、近年注目されています。今回のドラマでは、どのようなところにこだわっているのでしょう? 部屋のセットを見学させていただきました。
登場人物の個性が垣間見られる部屋に。4タイプの部屋の特徴とは?

毎週木曜22時から放送中の『隣の家族は青く見える』。深田さんが演じる主人公の五十嵐奈々(いがらし・なな、35歳)は、スキューバダイビングのインストラクターをしている活発な妻、そして松山さんが演じる五十嵐大器(いがらし・だいき、32歳)は、中堅玩具メーカーに勤める心優しいけどちょっと頼りない夫。そんな二人は、“コーポラティブハウス”を購入したことをきっかけに、子づくりをスタートします。ところが、そう簡単には子どもは授からず、不妊治療の専門クリニックに通うように。

五十嵐家だけではなく、コーポラティブハウスでは、川村家(子どもをつくらないカップル)、広瀬家(男性同士のカップル)、小宮山家(幸せを装う夫婦)、それぞれ他人には言えない秘密を抱えながら暮らしていて……。
主人公の夫役・松山ケンイチさんは、番組公式サイト掲載のインタビューに次のようなメッセージを寄せています。

「コーポラティブハウスに住む人たちはそれぞれに悩みを抱えていますが、それぞれ違った形の幸せも抱えていると思うんです。なので、幸せの形がひとつではないということ、いろんな幸せの形があるということをきちんと表現できたらなと思っています」

キャストのリアルな演技もさることながら、それぞれに個性的な住み手のキャラクターを投影したセットも、みどころのひとつです。

ということで、早速コーポラティブハウスを見学していきたいと思います。今回、セットを案内してくれたのは、美術デザインを担当するフジテレビ美術制作局デザイナーの宮川卓也さん。

【画像1】月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、『世にも奇妙な物語』他、ドラマからバラエティまで、番組のジャンルを問わず活躍している宮川卓也さん(撮影/末吉陽子)

【画像1】月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、『世にも奇妙な物語』他、ドラマからバラエティまで、番組のジャンルを問わず活躍している宮川卓也さん(撮影/末吉陽子)

まずは、各部屋のこだわりについて教えてもらいました。

【五十嵐家】
「夫がおもちゃ会社勤務、妻がダイビングスクールの講師ということで、遊び心を感じられる部屋にしました。マリンっぽさを出したり、滑り台があったりと、楽しそうな空間にしています。色味も、ちょっとかわいらしい感じにして、すごくおしゃれではないけど、お互いの趣味がマッチしている雰囲気を狙っています。あとは、友人からもらった結婚祝いの寄せ書きを飾るなど、皆から好かれている夫婦なんだなということが、小物から伝わるようにしています。また、ベッドルームとかもそのまま抜けて奥が見えるんですけど、不妊がテーマのドラマなので、リビングで会話をしていても、あえて奥のほうでベッドがちらつくようにしています」(宮川さん、以下同)

【画像2】ところどころにアクセントのブルーを散りばめたリビング。子どもがはしゃぎそうな滑り台も(撮影/末吉陽子)

【画像2】ところどころにアクセントのブルーを散りばめたリビング。子どもがはしゃぎそうな滑り台も(撮影/末吉陽子)

【画像3】友人たちからの寄せ書きも飾られているベッドルーム。マリンテイストのアイテムもかわいい(撮影/末吉陽子)

【画像3】友人たちからの寄せ書きも飾られているベッドルーム。マリンテイストのアイテムもかわいい(撮影/末吉陽子)

【川村家】
「スタイリストとネイリストのカップルなので、スタイリッシュでおしゃれなデザインにしました。品が良くて、ちょっとエロティックな感じにしたくて、色味はダークトーンに。どっちかというとバブリーなテイストにしています。結婚もしていないですし、子どももいらないという家庭なので、二人が楽しく住めるような、趣味のもので固めているというイメージです。ただ、これから子どもを引き取るかもしれないということで、この状態で、子どもが来てどうなるのかっていうのがこれからの見どころかなと思いますね。このままじゃ、多分、生活できなくなってしまうので、それをどういう風に工夫して、物語がどのように進んでいくのか、注目してもらいたいです」

【画像4】大人感漂うムーディーな雰囲気がすてきな川村家のリビング(撮影/末吉陽子)

【画像4】大人感漂うムーディーな雰囲気がすてきな川村家のリビング(撮影/末吉陽子)

【画像5】調度品はモノトーンで統一されていておしゃれ。ただし、どこを切り取っても生活感はない(撮影/末吉陽子)

【画像5】調度品はモノトーンで統一されていておしゃれ。ただし、どこを切り取っても生活感はない(撮影/末吉陽子)

【小宮山家】
「ごく一般的な夫婦+子ども二人の4人家族ということで、普通のマンションぽいつくりにしています。ただ、妻がちょっと曲者でして、周囲の家族との間に波風を立てるタイプの人。自己顕示欲が強いところがあるので、普通のマンションをベースにしながらも、ところどころ背伸びしている感じを出しています。あとは、やたら子どもの写真を貼っているなど、全体的に子どもがいてこそ本当の幸せという価値観を表現しています。夫は、尻に敷かれているので、自分専用のスペースはありません。高価なL字キッチンがあって、ダイニングテーブルの隅に夫のスペースがある、というイメージです。インテリアは、ナチュラルベースでバリアフリーにしています」

【画像6】子どもたちの絵や写真が目を惹くリビングダイニング(撮影/末吉陽子)

【画像6】子どもたちの絵や写真が目を惹くリビングダイニング(撮影/末吉陽子)

【画像7】やや物が多い気がするものの、きちんと片付けられている(撮影/末吉陽子)

【画像7】やや物が多い気がするものの、きちんと片付けられている(撮影/末吉陽子)

【広瀬家】
「建築士の仕事をしているとあって、洗練されたおしゃれな空間、というよりは、少しユニークなつくりにしたいと思いました。海外のデザイン本や、アーティスティックな写真を飾るなどして、個性的な空間にしています。おしゃれでありつつ、どのようなバックボーンで生活しているのか、一目で分かるように心がけました。また、川村家との違いを色でみせるため、少し明るめのグレイッシュなトーンでまとめています。あとは、珍しい形状のアイランドキッチンを配置して、建築士ならではの『複雑な空間をおしゃれにまとめました』という雰囲気を出しています」

【画像8】デザイン本や模型などが置かれた棚がスペースの仕切りとしても機能(撮影/末吉陽子)

【画像8】デザイン本や模型などが置かれた棚がスペースの仕切りとしても機能(撮影/末吉陽子)

【画像9】すっきりと片付けられているアイランドキッチン。木工製品のようなディテールがおしゃれな照明にもセンスを感じる(撮影/末吉陽子)

【画像9】すっきりと片付けられているアイランドキッチン。木工製品のようなディテールがおしゃれな照明にもセンスを感じる(撮影/末吉陽子)

美術デザイナーが考える、コーポラティブハウスの魅力

住む人の個性を反映した4タイプの部屋のセット。物語同様、その細部にも注目したいところです。宮川さんに、セットをつくる際のセオリーを聞いてみました。

「どこで切り取られても、“この登場人物の部屋なんだな”と分かることを前提にデザインしています。例えば、壁をバックに演じるシーンでも、ただの真っ白な壁にならないように、その登場人物の個性を感じるポイントが映り込むように心掛けています。それは、おそらく美術デザイナーなら誰しも意識しているセオリーではないでしょうか。あとは、役者さんご自身のバックボーンもあるので、どのような生活をしてきたのか、ときに聞いてみたり想像したりしながら、感情移入しやすい空間づくりを心掛けています」

【画像10】コーポラティブハウスの模型(撮影/末吉陽子)

【画像10】コーポラティブハウスの模型(撮影/末吉陽子)

今回のドラマでは、デザイナーズ家具を取り扱う「リグナ」のアイテムがテイストに合うということで、メインに起用しているとのこと。なんでも、「セットをつくりあげるにあたっては、脚本家さんと話して人物のイメージを固めるまでに、かなりの時間を費やします。『この登場人物はこういう人なんだ』とイメージをつくりあげるのは、ドラマの核になるところですから」とのこと。

ちなみに、宮川さんが住むとしたら? 「僕もデザイナーなので住むとしたら広瀬家ですかね。もっと棚をいっぱいつくってデザイン本を置いて、作業台も使いやすくもう少し大きくしたいと思います」

さて、今回コーポラティブハウスという、新しいタイプの住まいをセットに落とし込むにあたっては、入念なリサーチを重ねたといいます。そこで改めて、コーポラティブハウスの良さを感じたと宮川さん。

【画像11】4世帯が暮らすコーポラティブハウスの共有スペースは、ドラマでも度々登場する場所だ(撮影/末吉陽子)

【画像11】4世帯が暮らすコーポラティブハウスの共有スペースは、ドラマでも度々登場する場所だ(撮影/末吉陽子)

「コーポラティブハウスをメインに設計しているメーカーを演出担当者と一緒に3、4社まわり、実際の建物を見学させてもらいました。自分たちで、構造から空間、部屋、床材から壁の色まで決められるのはメリットだと思います。あと、マンションだと隣に誰が住んでいるか分からないことが多いかもしれませんが、ゼロから建てるため、皆で集まって話し合いをするので、顔を見られる安心感があります。

そうした過程を経て、連帯感ができると聞きました。裏を返せば、ちょっとお付き合いしにくい人がいた場合、もめごとの要因にもなってしまう不安もありますが、メーカーさんいわく、普通のマンションのような距離感を保って住むこともできるそうなので、住む人次第なのかなと思います」

現代社会に生きる家族が抱える悩みを、新しい住まいのかたちを舞台にリアルに描いたドラマ。ぜひ物語と一緒に、お部屋のつくりにも目を向けてみてくださいね。

●取材協力
・フジテレビ木曜ドラマ『隣の家族は青く見える』

引用元: suumo.jp