「良い中古マンションの見分け方を教えてください」 住まいのホンネQ&A(7)

「良い中古マンションの見分け方を教えてください」 住まいのホンネQ&A(7)

新築マンションの価格が高騰する昨今、中古マンションも住宅購入の選択肢に入れたいもの。少しでも条件のよい中古マンションを手に入れるためには――?
目利きのポイントを、さくら事務所会長の長嶋修氏に聞いてみました。
室内に入る前に、まずチェックすべきはあの場所

中古マンションを見学する際には、いきなり室内(専有部)には入らず、まずは外壁やエントランスまわり、廊下や階段などの「共用部」をじっと見つめてください。

まず外壁。昨今、マンションの外壁はタイル張りが主流ですが、ざっと見渡してみたときに、タイルがはがれおちているところ、もしくは浮いているようなところはありませんか? 

タイルがはがれたり浮いたりする原因は「経年劣化」「不良工事」「地震の影響」などさまざまですが、万一落下すればたちまち凶器となり危険です。その上、タイルはコンクリートを劣化から守る役割もありますので、そのままにしておくとコンクリートの躯体(くたい)、そのものが長持ちしません。

もしタイル落下、浮きなどの症状が見つかったら、次はマンション管理組合がその状況を把握しているか、またそれについてなんらかの対処を行う予定があるかを確認しましょう。これは、不動産仲介担当を通じてマンション住民で構成する管理組合に確認してもらってもいいですし、管理員さんがいらっしゃれば尋ねてみてもいいでしょう。

次に廊下や階段などの共用部。築年数の経過で少しずつ劣化していくのは建物の宿命ですが、一定の幅や深さがある「ひび割れ」や、一定量以上の白い粉状カルシウム成分が浮き出てくる「エフロレッセンス」(白華現象)、「雨漏りや水漏れ」など、コンクリート内部の鉄筋から茶色い錆び汁がしみだしている現象などを放置しておくと、着実に建物の寿命を縮めていくことになります。また、時間が経過するほど、その修繕コストは膨大に。このコストは住民で構成する管理組合の負担です。早く発見するに越したことはないのです。

ちなみに、今年4月からホームインスペクションの説明が義務化されましたが、この診断で分かるのはあくまで個別の室内、つまりは「専有部」についてですので注意が必要です。

外壁タイルが浮いているマンション(さくら事務所提供)

外壁タイルが浮いているマンション(さくら事務所提供)

廊下・階段などに大きなひび割れはないか(さくら事務所提供)

廊下・階段などに大きなひび割れはないか(さくら事務所提供)

清掃状態に透ける管理組合の運営姿勢

エントランスや集合ポスト、ゴミ置き場や駐車場・駐輪場などの清掃状態・整理整頓具合はどうでしょうか。こうしたところが雑然としているのは、管理員の仕事が行き届いていないからに他なりませんが、背後にはそういった状態を容認している管理組合の存在があるわけで、マンション管理についてその程度の関心しかないということです。

掲示板に数カ月も前の古い情報が貼られたまま、貼ったものが破れているなどの事象も組合運営の姿勢を推し量れます。

購入の検討に入る前には「総会や管理組合の議事録」「長期修繕計画」などの閲覧を求めましょう。こうした議事録には、そのマンションで繰り広げられているさまざまな課題が満載。例えばどの程度の管理費・修繕積立金滞納があり、それに対してどのような対応をしているか、駐車場や駐輪場、ごみ置き場、廊下、そして先述の外壁など共用部の使い方やコンディションに何か課題があるか、今後の修繕計画はどのようになっているかなど、マンションのさまざまな事情が記載されているはずです。

修繕積立金滞納のないマンションはむしろ少数派ですし、多くの人が住んでいる以上、共用部の使い方に課題が全くないマンションも少数です。要はこうした、マンションの宿命ともいえる各種の課題について、所有者で構成するマンション管理組合がどのような姿勢で、具体的にどんな取り組みをしているのか、それを知ることが大事なのです。

また「長期修繕計画」を見れば、今後の建物修繕予定が分かるのはもちろんのこと、今後の積立金負担の趨勢も分かります。多くのマンションでは、新築時に売主が策定した長期修繕計画をそのまま変更せずに使用しているケースが多く、たいていの場合、新築当初から当面の間は修繕積立金を低額に設定、5年目・10年目・15年目などに一気に数倍になったり、多額の一時金を徴収する計画となっています。規模などにもよりますが、適正な修繕積立金額は平米あたり200円程度で、70平米のマンションなら月額1万4000円程度。これより少ない場合はその分、あとで積立金の値上げか、一時金の徴収があると思ってください。

分からないことがあれば不動産仲介会社を通じて管理組合に尋ねるか、判断に迷うことがあれば第三者の専門家に見解を聞くのもいいでしょう。ただしこのような内部書類については、マンション購入者などの第三者に閲覧させることは義務ではないため、あくまで任意で閲覧をお願いすることになります。言い換えると、閲覧に応じるマンションはその情報開示姿勢だけで好感が持てるということです。自らのマンション管理運営に自信があるとか、情報開示の重要性を理解しているといった組合員が多いからこその情報開示です。

居室はつい遠慮しがち インスペクターを活用しよう

室内(専有部)については、キッチンやユニットバス・洗面化粧台などの水まわりに水漏れがないか、換気扇が正常に稼働するか、建具に傾きがないか、正常に稼働するかなど、くまなくチェックしたいもの。

しかし現実には、多くのケースで売主さんが居住中であることから、どうしても遠慮がちになり、きちんとチェックするのをためらってしまうケースが多いはずです。そんな時はホームインスペクター(住宅診断士)に依頼して、室内を一通りチェックしてもらうのがおすすめ。インスペクターによりますが、50~100項目に及ぶ調査で入居後に発生するトラブルを防ぐことができますし、リフォームや修繕に「いつごろ」「どこに」「いくらくらいのお金がかかるのか」が分かります。この際には、中古マンションに詳しいホームインスペクターを選ぶようにしてください。

瑕疵保険はあくまで「保険」にすぎない

最後に、「瑕疵保険」の考え方についても説明しておきます。

中古マンションの中には期間1年・2年・5年などの「瑕疵(かし)保険」がついているものがありますが、だからといって建物に問題がなく安心だというわけではありません。例えば築30年以上のマンションなら、そのコンディションや材質によってはそろそろ上下水道の配管や電気配線などの交換時期ですが、瑕疵保険は、たった今水漏れさえしていなければ加入できるもの。「入ってさえいれば安心」という訳ではありません。あくまでも念のため、万が一の時のためのものであると理解しておきましょう。

s-長嶋修_正方形.jpg長嶋 修  さくら事務所創業者・会長
業界初の個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)を行う「さくら事務所」を創業、現会長。不動産購入ノウハウの他、業界・政策提言や社会問題全般にも言及。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演等実績多数。【株式会社さくら事務所】

引用元: suumo.jp