BEAMS流インテリア[2] 世界各国のアンティーク家具・民芸品がつくりだす極上おもてなし空間

BEAMS流インテリア[2] 世界各国のアンティーク家具・民芸品がつくりだす極上おもてなし空間

一生ものの家具に出会うまでは妥協なし。捨てるのが嫌なので、気に入ったものに巡り合うまではたとえ不自由でも間に合わせは買わない、と断言するスタイリングディレクターの和田健二郎(わだ・けんじろう)さん。お眼鏡にかなった世界各国の民芸品、家具、ファブリックなどが創り出す独自なミックステイストは、BEAMSスタッフ間でも羨望の的。とびきりのセンスと、居心地の良さの秘訣を探ってみましょう。●BEAMSスタッフのお住まい拝見・魅せるインテリア術
センス抜群の洋服や小物等の情報発信を続けるBEAMS(ビームス)のバイヤー、プレス、ショップスタッフ……。その美意識と情報量なら、プライベートの住まいや暮らしも素敵に違いない! 5軒のご自宅を訪問し、モノ選びや収納の秘訣などを伺ってきました。オープンなLDK空間とプライベート空間を分けた最上階のメゾネット

和田さんが住むのは、世田谷の住宅街を見渡す低層マンションの最上階メゾネット。購入してリノベーションしたのは約8年前。結婚して借りた下北沢の1LDKのメゾネットにも8年住んでいた。「上下階で空間を分ける暮らしが気に入っていたので、中古マンションを探す際もメゾネットにこだわりました」(和田さん・以下同)。

元々住んでいた下北沢の近くで探し始めたものの、人気の沿線、かつメゾネットは数が少ないため、物件探しは長期戦に。半年過ぎて諦めて別の中古マンションに決めかけていたころ、東南角部屋の100平米を超す広さのこの部屋に巡り合った。「最上階で窓も多く、視界のヌケ感や空の広さが理想通り」と即決。当時築30年だったマンションを、同じ鹿児島出身のLAND SCAPE PRODUCTSさんに依頼してリノベーションすることにした。

コンセプトは「人が集まりやすい家」。玄関を入ったフロアはLDKメインのオープンな空間にするため、2つの部屋をひと続きにして広々と。LDKの一部に小上がりをつくって変化をつける、キッチンコーナーもオープンに、壁は漆喰(しっくい)、など妻と相談しながら空間イメージや素材もスケッチにして具体的に提示した。

和田さんのお住まいはマンションの最上階、4階と5階のメゾネット。人が集まりやすいよう玄関を入ったフロアをパブリックスペースに、階段をあがった上階を寝室や子ども部屋などのプライベートスペースに(和田さん提供資料を基にSUUMOジャーナルにて作成、上階省略)

和田さんのお住まいはマンションの最上階、4階と5階のメゾネット。人が集まりやすいよう玄関を入ったフロアをパブリックスペースに、階段をあがった上階を寝室や子ども部屋などのプライベートスペースに(和田さん提供資料を基にSUUMOジャーナルにて作成、上階省略)

「全ての希望はかない、壁の一部に大谷石を使うなど面白い提案ももらい、仕上がりの満足度は120%です」

玄関を入ると20畳以上の明るく広々したLDK。ウェグナーのダイニングテーブル(デンマーク)、革製ロバのスツール(スペイン)、パーシヴァル・レイファーの黒革ソファ(ブラジル)、100年以上前の食器棚(イギリス)など世界各国のこだわりのインテリアが並ぶ(写真撮影/飯田照明)

玄関を入ると20畳以上の明るく広々したLDK。ウェグナーのダイニングテーブル(デンマーク)、革製ロバのスツール(スペイン)、パーシヴァル・レイファーの黒革ソファ(ブラジル)、100年以上前の食器棚(イギリス)など世界各国のこだわりのインテリアが並ぶ(写真撮影/飯田照明)

リビングの一角にはお気に入りのスツールや小物をディスプレーする小上がり空間。冬にはここがこたつコーナーになるという。LDKの壁は漆喰、棚の奥は大谷石で空間のアクセントに(写真撮影/飯田照明)

リビングの一角にはお気に入りのスツールや小物をディスプレーする小上がり空間。冬にはここがこたつコーナーになるという。LDKの壁は漆喰、棚の奥は大谷石で空間のアクセントに(写真撮影/飯田照明)

小上がりの下は、段差を利用して引き出し式の大きな収納スペースに。3つある引き出しには季節外のラグやこたつなど模様替え用のファブリック中心。かさばるものも重いものも入って便利(写真撮影/飯田照明)

小上がりの下は、段差を利用して引き出し式の大きな収納スペースに。3つある引き出しには季節外のラグやこたつなど模様替え用のファブリック中心。かさばるものも重いものも入って便利(写真撮影/飯田照明)

世界各国の椅子が20脚以上! 妥協しないインテリア選びの秘訣

リビングの小上がりは、いま和田さんが気になっているものをディスプレーする舞台のようなコーナー。インテリア小物、美術書などの絵になる本、スツール類が無造作に並ぶ。現在、棚にはテイスト別に民族ものやビンテージものなどお気に入りの服がお店のように並び、こまめに模様替えも楽しんでいるという。

ここにある柳宗理(やなぎ・そうり)デザインのバタフライスツール3脚は、20年前に出会って和田さんがインテリアに関心をもつキッカケとなったもの。

棚上段に中国やアフガニスタンの民族ものの衣服、2段目にアメカジやボーダー、3段目にデニム、チノパン、ミリタリー、ビンテージものを分類。その下には3脚のバタフライスツール、手前には部族によってデザインが違うアフリカのスツール類を集めて植物を置いている(写真撮影/飯田照明)

棚上段に中国やアフガニスタンの民族ものの衣服、2段目にアメカジやボーダー、3段目にデニム、チノパン、ミリタリー、ビンテージものを分類。その下には3脚のバタフライスツール、手前には部族によってデザインが違うアフリカのスツール類を集めて植物を置いている(写真撮影/飯田照明)

「曲線的なフォルムの美しさに惹かれて。日本製とは思えないデザインと技術力に驚き、売り場の商品だったので説明できるよう、インテリアの勉強を始めました」

臨時収入があると飲み代に消えていたお金で、このバタフライスツールを買った。そこからスツールに凝り始め、「すっかり椅子フェチ、いまではスツールだけで20脚以上あります(笑)」
※スツールとは背もたれなしの椅子のこと

スツールのなかでも貴重なのが、アフリカ民芸もの。一本の太い木をくり抜いてつくられる接ぎ木のないもので、部族ごとにデザインも違う、木材・技術ともに今やつくることが難しい一点物のアンティーク。そのほか、フィンランドのサウナスツール、スペインの革製ロバなど、国も素材も年代も多様。「好きなモノをイメージして探し続ければいつか出会える」という。

実際、海外のフリーマーケットや近所のアンティークショップまでさまざまなところで出会いがあり、「海外から大荷物を背負って帰ることもしばしば」とのこと。

家具や小物だけでなく、中東、アジア、アフリカなどの民族着やファブリックもコレクションに。「年代を経た手の込んだ一点物を見るとつい買ってしまいます」。ラグは、季節ごとに模様替えを楽しんでいるという。

「家具は捨てるとき大きなゴミになるから買い替えが嫌。買うときは一生ものだと思って慎重に選び、間に合わせで妥協はしない」という和田さん。結婚当初、欲しいローテーブルが2~3年待ちと言われ、納品まで不便でもローテーブル無しで過ごした。当時から人が集まる家にしたいという思いがあり、ダイニングテーブルも2人暮らしには大きい6人掛けサイズを選んだ。その甲斐あって、家族が増え住まいが変わったいまも全て大活躍中だ。

フローリングは全てオーク材、壁は漆喰など大規模なリノベーションだったが、工事中の廃材もなるべく出さないように気遣った。「天井や床も、全て元の素材の上から張ってもらいました。ゴミも出ないし、断熱や防音も兼ねられるので一石二鳥です」。

奥のキッチンは、タイルの色までこだわって妻がデザイン画を作成してイメージを伝えた。左の食器棚はイギリスの100年超えのアンティーク、右は大正末期の水屋箪笥というミックス感。手前のローテーブルが2年待ち、フィンランドのタピオ・ヴィルカラ(写真撮影/飯田照明)

奥のキッチンは、タイルの色までこだわって妻がデザイン画を作成してイメージを伝えた。左の食器棚はイギリスの100年超えのアンティーク、右は大正末期の水屋箪笥というミックス感。手前のローテーブルが2年待ち、フィンランドのタピオ・ヴィルカラ(写真撮影/飯田照明)

既成概念にとらわれず、収納も自由な発想でアレンジ

素敵な一点物を買ってきて置いているだけでは生まれない、異なるインテリアテイストのミックス感が生みだす独自のハーモニーもある。もちろんそれぞれが和田さんのお眼鏡にかなったという前提はあるものの、国も年代もテイストも素材もバラバラなものを組み合わせる秘訣は何だろうか。

「ものをありのままでとらえるのではなく、自由な発想でアレンジして組み合わせを楽しんでいます」。手に入れたものはそのまま使うだけでなく、色を塗ったり、用途を変えたり、パーツを変えたり、ちょっとした手間や工夫で見違えるような変化があるというのだ。

リビングのイギリスのアンティークの食器棚は、背が高く圧迫感があるためひとつのものを上下別々に2カ所で使用。玄関の昭和な下駄箱とリビングに続くアンティークの扉は、形も素材も異なるテイストを合わせるため色を塗る、などDIYのひと手間をかけた。小物を飾る際も、ひとつの下駄箱の上は日本の作家のものでまとめる、一方はアフリカの仮面など、同じテイストのものを固めるのもテクニックのひとつだ。

玄関ドアを開けると、マンションの玄関とは思えない広々した空間にパタパタ扉付きの昭和レトロな下駄箱が2つ。収納としての機能だけでなく、家具の存在そのものが絵になる(写真撮影/飯田照明)

玄関ドアを開けると、マンションの玄関とは思えない広々した空間にパタパタ扉付きの昭和レトロな下駄箱が2つ。収納としての機能だけでなく、家具の存在そのものが絵になる(写真撮影/飯田照明)

苦労して運び込んだという下駄箱の上は、日本の作家ものの陶器をディスプレー。昔の小学校の雰囲気そのままで使うのではなく、黒のペンキを塗り、取っ手を真ちゅうのボタン型に変えることで、波型ガラスが映える雰囲気あるインテリアに早変わり(写真撮影/飯田照明)

苦労して運び込んだという下駄箱の上は、日本の作家ものの陶器をディスプレー。昔の小学校の雰囲気そのままで使うのではなく、黒のペンキを塗り、取っ手を真ちゅうのボタン型に変えることで、波型ガラスが映える雰囲気あるインテリアに早変わり(写真撮影/飯田照明)

「あまり得意ではない」と謙遜しながら、さらにDIYで収納量アップの工夫も。下駄箱は箱内も板で仕切り、収納出来る靴の数を2倍3倍に。この2つに入りきらない靴類は、クロークの壁にDIYで棚を付けて大量に収納している。

出番待ちの靴や衣類を大量に収納するクローク。靴の高さに合わせてIKEAで購入したパーツと板でDIY、木製のネクタイ掛けはBROOKS BROTHERSのショップで使われていたものをDIYした(写真撮影/飯田照明)

出番待ちの靴や衣類を大量に収納するクローク。靴の高さに合わせてIKEAで購入したパーツと板でDIY、木製のネクタイ掛けはBROOKS BROTHERSのショップで使われていたものをDIYした(写真撮影/飯田照明)

上階寝室の窓際には、DIYで天井から帽子掛けを吊るして見せる収納に(写真撮影/飯田照明)

上階寝室の窓際には、DIYで天井から帽子掛けを吊るして見せる収納に(写真撮影/飯田照明)

マンションとは思えない玄関のしつらえ、風が吹き抜ける眺めのいい広々したLDK。世界各国の民芸とミッドセンチュリーが融合したインテリア。「妥協しないから失敗はしない」「いい物を選ぶと収納も楽しくなる」という言葉に納得の美術館のようでいて居心地もいいお住まい。ほぼ毎週末来客があり、年末には20人を超すゲストと忘年会を開いているというのも納得の、居心地の良さを兼ね備えた極上空間でした。

●取材協力
・BEAMS

引用元: suumo.jp